つよぽん医学講座

2009年6月18日 (木)

英語の紹介状 Ver.2(つよぽん医学講座その4-2)

アメリカ人の骨折患者の帰国に際し英語で紹介状を書いて、
日系アメリカ人医師の友人に添削してもらった話を昨日書きました。
昨日のエントリーから添削後の文だけ、も一度掲載します↓

To whom it may concern,
 
Mr.Andy is a ○○ year old male, who fell down and had injured bimalleoller fracture of the right ankle on Jan ○○, 2009. Open reduction and internal fixation (ORIF) was done on the same day. Medial malleolus (tibia) was fixed with K-wires and suture wire (tension band wiring), and lateral malleolus (fibula) was fixed with 1/3 tubular plate of SYNTHES. Good stability and alignment of the fracture site were accomplished after the operation. Please check the copy of the enclosed operation report and X-ray film on which the details are shown. Below the knee cast was applied. One week post operatively, all stitches were removed. Casting for several weeks and range of motion exercise and partial to full weight baring gait exercise after taking off the cast are recommended.
 
I am confident that when Mr.Andy seeks medical attention at your clinic, he will receive appropriate care. If you have any questions concerning the detail of his operation, please feel free to contact me at the e-mail address below.
 
Yours sincerely,

…で、
このブログを読んだアメリカ在住の某友人医師が
親切にも別versionの紹介状ひな形を作ってくれました。
くやしいけど死ぬほど笑…もとい感動したので、これもブログで公表します。
このVersion2は、昨日のよりも更に素晴らしい仕上がりになっています。
こちらも、このブログを読んだ先生方には紹介状のひな形として
有効利用していただければ幸いに存じます。
 
 
 
で、感動の英語文を見る前に…
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New Version↓

To whom it may concern,
 
Mr.Andy is a ○○ year old asshole, who got drunk and fell down, and as a result experienced a bimalleoller fracture of the right ankle on Jan ○○, 2009. Open reduction and internal fixation (ORIF) was performed on the same day without general anesthesia or septic technique because he did not have private insurance. Medial malleolus (tibia) was glued with K-wires and suture wire (tension band wiring), and lateral malleolus (fibula) was fixed with 1/3 tubular plate of SYNTHES to his other leg. Good stability and alignment of the fracture site were accomplished after the operation. For whatever reason we never understood, he was in a lot of pain during the surgery. Also, because he will not be able to walk for a while(if ever for that matter), we had not only left a Foley catheter, but also sutured it tight to his penis, and on top of that, we liberally applied Dermabond for extra security. Please liberate his urethra when indicated. Please check the copy of the enclosed operation report and X-ray film on which the details are shown. Below the knee cast was applied at the end of the procedure. One week post operatively, all stitches were removed, and the wound looks massively infected. Casting for several weeks and range of motion exercise, and partial to full weight baring gait exercise after taking off the cast are recommended, and also, if the infection does not improve, please proceed to amputate. Perhaps he should undergo general anesthesia this time.
 
Being an American, I am not so sure if Mr.Andy is intelligent enough to seek medical attention at all, and that even if he did he still has a very good chance that he will receive sub-optimal care due to general lack of competency in American medical community in general. If you have any questions concerning the detail of his operation, please feel free to contact me at the e-mail address below. Please do not forget to address me as "Sir." If appropriately addressed, I will probably provide consultation for a fee. We accept visa, MC, AE, and cash. Also, should he die as a result of this operation, please discard or destroy all relating documents immediately.
 
Yours sincerely,

 
 
これを書いたのはアメリカで臨床やってる仲良しの友人です。
仕事もできる天才的なドクターで(ただし自己申告w)、
私は彼と友人であることを誇りに思ってます。
でもその人、ちょっと紙一重なんですよ、ここだけの話。
(ぁ、文を見りゃモロわかりか…>紙一重w)

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2009年6月17日 (水)

英語の紹介状(つよぽん医学講座その4)

今日は…
どっちかと言うと若手医師向け(?)の医学講座です。

もう半年前になるんですけど、アメリカから派遣されて日本に来たばかりの技術者(50歳代の男性)が作業中に転倒。右足関節両果骨折(足首の両くるぶしの骨折)を受傷し当院の救急外来に搬送されました。

土曜日だったんですが、足関節の骨折は中途半端に数日待つと腫脹がかなりひどくなってしまうので、その日のうちに腰椎麻酔で手術(骨接合)やっちゃうことにして…とーぜん手術や入院の説明が必要なんですが、このアメリカ人のアンディさん(仮名w)、日本語はまっったくダメ。そこで英語が超得意のペラペーラな(つもりのw)私は…

「えっと、あんくるふらくちゃ、ほれほれえっくすれい!」
「おぺれーしょん、おぺれーしょん。いえす、とぅでい!!」
「すぱいなるあねすてじあ、のーぺいん、おーらいっ?」
「きゃすてぃんぐふぉーせぶらるうぃーくす、おけ?」
「りすくおぶいんふぇくしょんがえっとあの…。」

とぁゃιぃ英語(?)で説明をすませてオペ室へ。
短期語学留学してた頃はもうちょっとスラスラ英語が出たのになぁ…(-_-;)
 
 
1
 
 
手術時間は、閉創に30分を費やす丁寧さでやってトータル1時間10分、東洋の神秘、Japanese God Hand、つよぽん医師の華麗かつ繊細な手術を受けることができた幸運なアメリカ人、アンディさん(仮名w)であった。術後は順調に経過し、術後1週間で抜糸もすませ、退院後はソッコー帰国となったわけですが…。
 
アメリカに戻ってからリハビリなどの治療を継続するのに紹介状が必要です。で、とーぜん英語で紹介状を書かなきゃならんわけですが…うーん、最近、英語の手紙なんて書いてねーし。と、そんなタイミングで都合良く、たまたま日系アメリカ人医師の友人が来日していて一緒に飲むことになっていた私…むふ♪ チョロッとザッと手抜きで書いた英文を、飲み会に持っていってちゃっかりそのドクターに添削してもらっちゃいました。私の英語力を暴露することになり恥ずかしいんですが、添削前と添削後の英文を晒します。
 
読み比べてみてください。
うむむ〜。やっぱりnative doctorと文章の自然さがぜーんぜん違います。添削後の英文を読んでから最初に自分が作った英文を読んでみると「ぎこちなさ」丸出しっす。と言うことで、このブログをご覧になっている整形外科医のセンセがおられましたら、もしかしたら英語紹介状のひな形のひとつとして役立ててもらえるかも…というのが今回の趣旨なのでした。
 

英語、英会話、また勉強しよっかなぁ…(-_-;)
 
 
 
で、恥ずかしい英語を見る前に
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添削前↓

Dear Doctor.
 
Mr.Andy is ○○ year old male. He fell dowm and had injured bimalleoller fracture of rt.ankle on Jan ○○, 2009. Operation, open reduction and internal fixation was done same day. Medial malleolus (tibia) was fixed with K-wires and suture wire (tension band wiring), and lateral malleolus (fibula) was fixed with 1/3 tubular plate of SYNTHES. Good stability and alignment of the fracture site were obtained after the operation. Please check the enclosed operation record copy and X-ray film copy on which the details are shown. Below knee cast was applied. One week ater, all the stitches were took off. Casting for several weeks and range of motion exercise and partial to full weight baring gait exercise after taking off the cast are recommended.
 
When Mr.Andy seeks medical care for your clinic, please take a good care of him. If you have any questions concerning Mr. Andy, feel free to send E-mail to the adress shown below.
 
Yours sincerely,


添削後↓

To whom it may concern,
 
Mr.Andy is a ○○ year old male, who fell down and had injured bimalleoller fracture of the right ankle on Jan ○○, 2009. Open reduction and internal fixation (ORIF) was done on the same day. Medial malleolus (tibia) was fixed with K-wires and suture wire (tension band wiring), and lateral malleolus (fibula) was fixed with 1/3 tubular plate of SYNTHES. Good stability and alignment of the fracture site were accomplished after the operation. Please check the copy of the enclosed operation report and X-ray film on which the details are shown. Below the knee cast was applied. One week post operatively, all stitches were removed. Casting for several weeks and range of motion exercise and partial to full weight baring gait exercise after taking off the cast are recommended.
 
I am confident that when Mr.Andy seeks medical attention at your clinic, he will receive appropriate care. If you have any questions concerning the detail of his operation, please feel free to contact me at the e-mail address below.
 
Yours sincerely,


ちなみに日本語ならこんな感じ↓

担当先生御机下
 
アンディ氏、○○才男性です。2009年1月○○日、転倒して右足関節両果骨折を受傷しました。同日、観血的整復固定術を施行。内果(脛骨)はキルシュナー鋼線と巻き鋼線を用いてtension band wiring、外果(腓骨)はシンセス社の1/3円プレートで固定しました。手術による安定性とアライメントは良好です。詳細については同封の手術記録とレントゲン写真をご参照ください。術後は膝下ギプスとしました。1週間後には抜糸しました。数週間後にギプスをはずし、可動域訓練と部分荷重〜全荷重歩行を開始していただければ、と思います。
 
アンディ氏が貴院を受診されましたら、今後のご加療をよろしくお願いします。何かご不明な点などありましたら、どうぞご遠慮なく下記アドレスにe-mailでご連絡ください。 
  
つよぽん拝

 

 

で、ついでですが、このアンディさん、
退院するときに私の手を両手で強く握り真剣な眼差しで
I really really appreciate you!!   …と。
日本人の患者さんから感謝されるのとはまた違ったうれしさと言うか…
なんとなく、こくさいこうけーん♪…な誇らしい気分。
医者になってよかった、と思う小さな瞬間ですた。

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2009年4月24日 (金)

咬傷(つよぽん医学講座その3)

前回「刺し傷」の記事を書いてそれなりに好評だったので
今回はその延長線上で「咬傷(こうしょう)」の話をします。
動物などに噛まれた(咬まれた)傷のことです。

傷、キズ、と言っても怪我の原因はいろいろですよね。
刃物で刺したキズ、カッターで切ったキズ、
転んで擦りむいて擦過傷、動物に咬まれたキズ。

刺したキズも化膿しやすいんだけど、
動物に咬まれたキズ(動物咬傷)もコワイのです。
野良じゃなくペットの飼い犬、飼い猫であっても
動物の口の中には雑菌がいっぱいです。

「咬まれた傷はヤバイ」ってこと、
一般の人々は意外と知らないんじゃないかと思います。
犬や猫に噛まれた傷で病院に来た患者に
「動物に噛まれた傷は化膿しやすいんですよ。」
と話をしても「ええ!?そうなんですか??」
みたいなリアクションが多いのです。

動物に咬まれて出血するようなキズを負ったなら
見た目に軽傷そうでも、すぐに医者にかかってください。
咬まれた部位にもよりますが、できれば整形外科へ。
病院に行ってみて実はホントに軽傷だったとしても
大げさな対応をしておいて悪いことはありません。
軽く見て化膿して、あとで大変になるよりはずっといい。

鋭い歯が深く刺さったキズならなおさら危険です。
汚染された刺し傷」と「咬傷」、
化膿しやすい傷の条件がダブルでそろってますから。

で、そういう患者が病院に来たら?
まずキズをよーく消毒したり洗浄したりします。
で、抗生物質入りの軟膏を塗ってガーゼ保護。
抗生剤の点滴か内服。初期治療はそれだけです。
肉がみえているようなキズでも原則として縫いません。
開放創にしておいたほうが菌を閉じこめず
化膿を防げるからです。

ちなみに、どんな動物の咬み傷が感染しやすいか?
Evidenceを確認したわけじゃないのですが
「ヒト咬傷」がタチ悪いというのはよく聞きます。
人間の口の中って雑菌だらけなんですね〜(^^;)
「傷なんて舐めておけば治る」なんて言うのは
実は言語道断ってことかもしれませんw

ちょっとズレますが、
ケンカで人を殴って相手の歯に当たって拳に傷がつき、
ついた傷がひどく化膿したのを診ることがあります。
噛んだんじゃないけど、歯に当たってついた傷、
咬傷と同じだから化膿しやすいってことですね。

Photo

で、写真はちょっと古い症例ですが
ネコに手を噛まれて受傷した高齢男性の放置例です。
関節まで達する傷だったんだろうと思います。
傷が広がって骨まで見えるようになってから
他院からの紹介で病院に来ました。
私が診たときにはすでに骨髄炎、化膿性関節炎で
関節軟骨と周囲組織が溶けて膿が出ていました。
即入院してもらって、手術室でデブリドマン
(感染、壊死組織を洗浄や切除してきれいにすること)、
創管理と抗生剤点滴をガッツリやって数週間後…
最終的には関節固定術(関節を動かなくしてしまう手術)。
そうして関節をひとつ犠牲にして感染は落ち着きました。
後遺症を残して“治癒”です。

そのときの膿、
培養検査(ばい菌を調べる検査)してみたら
帰ってきた報告書に記載されていた菌種名は
Prevotella denticola
あんまり聞き慣れない名前だなーと思って調べたら…

“歯周病菌”ですた。うむむ。

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2009年1月23日 (金)

汚染された刺し傷(つよぽん医学講座その2)

つい先日の手術。
 
【現病歴】
2週間ほど前に木材のトゲが母指(親指)に刺さった。
自分でトゲを抜いて、あとはそのまま放置していたら
だんだん指が腫れて痛くなってきた。
○月○日、開業の整形外科からの紹介で当科を初診。
 
【現症】
右母指が通常の2倍ほどに腫れ上がり、
IP関節中心に血行の悪い皮膚色、周辺はびまん性に発赤。
関節を動かすと強い痛みを訴える。体温は38℃超。
血液検査ではCRP,WBCが上昇している。
 
【診断】
右手のびまん性の感染を伴う化膿性屈筋腱鞘炎
 
【手術】
まず…母指の掌側(指の腹)いちばん腫れている部分に
サクッとメスを入れる。一気にドロドロの膿が流れ出してきた。
膿を採取して培養、細菌検査に提出して手術は続行。
指の先端からMP関節より近位まで大きくジグザグに切開し
指神経を温存してよけ、腱と腱鞘の汚染を確認する。
軟部組織は想像以上に汚染されていた。
指の背側をグッと押すと裏側、伸筋腱側に回り込んで
溜まっていた膿が更に押し出されてドロッっと出てくる。
滅菌した生理食塩水トータル3000mlで洗浄。
ドレナージが効くように、あまり密には縫わずに閉創。
 
術後はガッチリ抗生物質を点滴で投与する予定。
 
「ちょっとした刺し傷」を甘く見た結果がオオゴトになった。
そういうエピソードです。実はこういうの多いんです。
1


 
話は変わって…
年末に某SNSの医療系コミュニティで上がった相談。
 
 使用後の折れた爪楊枝で指を刺してしまった。
 化膿が怖いので絞り出すようにして血を出して
 マキロンで消毒してカットバンを貼った。
 …1日経って…だんたん指が腫れてきた。
 スジがつるような感じ、そして熱っぽさも出てきた。
 でも、この程度の傷で病院へ行くのは気が引ける。
 このまま消毒のみで様子をみて大丈夫でしょうか?
 
どう答えましょう?
 
上に紹介した患者さんの経過を想像してください。
この相談に対する回答は『すぐ病院へ!』です。
 
以下、この相談に対して私が書いたコメントです。
(読みやすくするために多少表現を変えます。)
 
 本来は受傷後すぐに病院に行くべきでしたね。
 まず外科系の二次救急をやっている病院に電話。
 怪我の経過を話して受診したいとお願いしてください。
 指のどのへんのどれくらいのキズかわかりませんが、
 書き込みを読んだ限りでは感染(化膿)がひどくなって
 いきそうな印象です。しっかりした創処理、創処置と
 抗生剤の処方または点滴を受けたほうがヨサゲですよ。

  
相談者は回答を受けて救急病院に診察依頼の電話をしました。
そしたら、その病院の対応は…
患者がたくさん来ていていつ診察できるかわからないので、
明日まで待って休日診療に行くように指示された、とのこと。
 
それを読んだ私のコメント↓
 
 確信犯的に、あえて声を大にして言いたいんですけど
 
 >患者さんがたくさん来られていて
 >いつ診察できるかわからないので、
 >明日まで待って休日診療に行くように指示
  
 医者か看護師か受付の事務かわかりませんが、
 対応として“最低”です。
 私が当直医なら「すぐ来てください。」と言いますね。
 どこですか、その病院!
  
 感染が広がっていたら処置がオオゴトになります。
 脅すようですが最悪なら緊急入院&手術です。
 例えば指の屈筋腱の腱鞘内にキズが貫通していたら、
 腱鞘は腱が通るトンネルですから
 トンネル内を一気に菌が広がります。
 そしたら手のひらから指までざっくり切って開いて洗浄、
 そんな手術、私は年にいくつもやってます。
 そういったケースのほとんどが
 「大したキズじゃない」と素人判断して病院に行かずに
 中途半端な消毒で治療開始が遅れたものです。
  
 昨日の午後や、今日の日中、
 病院が通常業務の時間に受診しなかったのは感心しませんが
 どの程度の怪我なら病院に行くべきか判断できなかったのは仕方がない。
 「こういう怪我したらすぐ病院にくるもんですよ。」と救急外来で
 当直医からちょっと小言を言われるかもしれませんが…
  
 『 す ぐ 病 院 へ 』
  
 が現時点での最も適切な行動です。
  
 傷口が広くて浅い傷は比較的感染しにくいです。
 血液と一緒に菌が流れて外に出て行きますから。
 小さく深い傷口はすぐにふさがってしまい
 菌が外に逃げられないから中へと広がり繁殖します。
 要するに“刺し傷”って化膿しやすいんです。
 で、その上、何で刺したかと言ったら…
 洗ったばかりのきれいな包丁で切った、とかじゃなく
 買ってすぐの取り出したばかりの爪楊枝、でもなく
 ディスポーザーの中の使った後の爪楊枝、ですよね。
  
 感染→化膿の条件が満たされちゃってるんですよねぇ…。

  
 
… 
 
長々と(ぃゃホント長文スマソ)ここまで読んでくれた方々には
『汚染された刺し傷』の怖さを分かってもらえたと思います。
医学知識のない一般の人々で『刺し傷はおっかない』
なんて認識を持っている人は少ないですよね、たぶん。
刺したキズなんて押さえておけば血はすぐ止まるし、
どう見ても重症感はありません。
コンビニ受診の弊害がメディアでも叫ばれる昨今、
そういう刺し傷を負った人が、初期治療が大事なのに
「これくらいで病院に行ったら大げさと思われるかな…。」
受診を躊躇う人が多くても不思議ではないですよね。
 
今日のブログ記事、テーマがふたつ混ざっているので
ややこしくてすみません。
 
ひとつは
・汚染された刺し傷の緊急性、危険性を知ってほしい。
という純粋に医学的な啓蒙、「つよぽん医学講座」です。
 
もうひとつは
・救急医療において必ずしも緊急度=重症度ではない。
ということを医療者にも非医療者にも考えてほしいのです。
こちらのテーマについて詳しく書くのは次回にします。

ぃゃ、文が長くなって疲れちゃったんで。
読むほうも疲れたでしょ?

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2008年10月20日 (月)

アキレス腱断裂

医療ネタ、音楽ネタ、ただの独り言が多い私のブログですが
前回のアキレス先生ネタの流れで書きたくなったので...
たまには、ちょっとマジメな医学ネタ、いかがでしょうか?
 
病気や怪我をググればいろんなサイトで情報は得られるので、
かしこまった教科書的なことを書いても変わり映えしなくて
ブログ記事としての存在意義がありませんよね。
私流の切り口で、なるべく素人さんにもわかりやすいように
ムズカシゲなことを抜いて疾患の解説をしてみようかな、と。
で今日のお題目は...

 
 
 
アキレス腱断裂
 
けっこう来ますよ、救急外来に。
たいていはバスケットやバレー、サッカー、野球、
スポーツの試合中や練習中の受傷です。
受傷した時のこと、患者さんがよく言うのは
「後ろから思いっきり足首を蹴られたと思った。」
「パーンと大きな音がしたような気がする。」
そんな感じです。
 
男女問わず30〜40才代の人が多いです。
で、それも年齢相応以上の体力を持つスポーツマンが多い。
10〜20才代や、50才代以上でアキレス腱を切る人は
あんまりいませんね〜。
 
おそらく10〜20才代は筋力も体力も瞬発力もあるけれど
筋肉や腱のしなやかさ、柔軟さも持っている。だから切れない。
50才代以上になると、身体の柔軟性はなくなっているけど
筋力、体力、瞬発力も同時に落ちているので
アキレス腱に過度の負担をかけるような状況がない。
柔軟性の衰えとともに、同じカーブで体力/筋力も
年齢相応に段階的に落ちていけば怪我はしないんでしょう。
 
30〜40才代のスポーツマン、アスリートは
身体を鍛えることによって20才代の体力/筋力を維持している。
でも柔軟性は年齢なりに落ちているものです。
しなやかさの落ちたアキレス腱に負荷をかけられる筋力の持ち主、
それがアキレス腱断裂で我々のお客さんになりやすい人々ですw
 
だからストレッチや柔軟体操、準備運動は大事なんです。が、
患者さんに聞くと、意外と皆さん切れる前に体操ちゃんとしてる。
そういう筋力維持、体力維持に気を使う人ほど
ちゃんと身体の若さ、筋力も瞬発力も維持できていて
だからこそアキレス腱を切りやすいんでしょうね。
 
ですから…
20才代でアキレス腱切ったあなた、
柔軟性は30〜40才代、身体カタイと思ったほうがいいかもw
50才代でアキレス腱切ったあなた、
ひと回り下の年代に負けない運動能力を自慢していいですよww
 
治療は、ギプスや装具だけで治す保存療法と
手術で腱縫合する観血的治療、半々くらいなのかなぁ。
うちの病院では手術をすることが多いですけど。
 
手術や装具やリハビリについて語ると、長くなりすぎるので
その辺は、またいずれ気が向いたら書きますね〜。
 
 
いかがでしたでしょうか? 
簡単な話すぎたかなぁ...(-_-;)
 
つよぽん医学講座、評判悪くなければシリーズにしますね。
あの病気、この怪我、リクエストあったらコメントよろ。
書けそうだったらブログネタに採用させていただきます。
(気が向いたら、時間があったら、ですがw)
  
ただし私つよぽん、
フットワークだけでなく、アタマも軽いヤブ医者なので
今回のも含めて、あんまり信用しないほうがいいかもです。
内容に責任は持てませんのでご了承くださいm(_ _)m

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