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2010年5月

2010年5月13日 (木)

「指つながんねえぞゴルア!」慰謝料3400万、賠償請求訴訟の顛末

もう2年以上前のエピソードなんですが、
記録として個人的に残しておきたいのでアップします。
 
 
こんな報道がありました。
 
 
指変形で県立六日町病院提訴  -新潟日報2008年1月4日-
 
南魚沼市の県立六日町病院で左手中指と薬指の接合手術を受けた際、同病院の医師が不当な治療を行ったため、患部が変形したなどとして、同市の会社員男性(46)が4日までに、県を相手取り、慰謝料3400万円の損害賠償を求める訴訟を地裁長岡支部に起こした。
 
訴状によると、男性は2006年10月24日、同市の会社で勤務中、ゴム研磨機のカバーで左手の中指と薬指を切断する事故にあった。同病院で両指の接合手術を受けたが、薬指が手術後、赤黒く変色し、指先が半分程度につぶれた。また、中指もその後のワイヤー除去手術で、医師が患部を極度に圧迫するなどしたため、指先の感覚がまひした。
 
訴えに対して県病院局業務課は「弁護士とよく相談して対応していきたい」と話している。

 
 
当時、この記事を見つけてスイッチ入っちゃった私は、某SNSでトピックを立てて、こんな意見を書きました。
 
 
私は整形外科、専門は手の外科です。今まで再接着もかなりの数やってます。
 
今までこんな訴訟、聞いたことありません。そもそも切断指の再接着は「ダメでもともと、つながったらラッキー」です。挫滅が軽度で手の外科医が生着する可能性が高いと見込んで手術したとしても「つながらなかったら賠償責任が生じる」などということは断じて“ない”。ましてや「不当な手術で指がつぶれた」などと責められる筋合いのものではない。万が一これで、県が金払って和解するなら、訴訟になって原告が勝訴するなら…90%生着させる自信があっても今後はすべて断端形成しましょうか。そしたら今度は…「つながる可能性があったのにつながなかった。」と訴えられるんでしょうか?
 
産科医療の刑事・民事訴訟、救急医療の刑事・民事訴訟、どんどん「とんでも度」がエスカレートしています。「太い糸のガス壊疽→下肢切断」のように最高裁決定が出てしまったものも捨て置けない。しかし、このケースのようにこれから裁判になるものはなおさら「とんでも裁判」が「とんでも判決」にならないように、見守るだけでなく、なんとかしなければ、と思います。

 
 
そして新聞社には、上の文章と、それに続けて以下の文を追加してメールを送りました。
 
 
新潟日報に限らずですが新聞社の方々にお願いしたいのは提訴の報道、その第一報に関してです。「訴状によると」という報道は原告の一方的訴えでしかありません。しかし読者は文脈から「事実」として捉えがちです。新聞という媒体、活字は強いのです。読んだ側は「落とした指はつながるのが当たり前なんだ。つないで失敗したら3400万もらえるのか…。」と勘違いしかねません。どうか、読み手も中立のスタンスでいられるような書き方をしていただけないでしょうか?このままでは医療崩壊、医師の立ち去りはどんどん加速します。今回の訴訟、これひとつだけでも南魚沼地区の整形外科医療を粉微塵に吹き飛ばす火力を持っています。どうか医療崩壊の火に油を注がないでください。むしろ医療の現状を伝える、住民が地域医療を守っていかなければ、と発信していただけないでしょうか。
 
 
新聞社からは返信をいただきました。私が出したメールへの回答の趣旨は『提訴記事の書き方は、「訴状によると‥」の書き出しで、以前から統一されています。事の適否は裁判所が決め、その結果も判決が出た段階で報道されていますが、ご指摘は、報道部へきちっと伝えさせていただきます。』というような内容でした。
 
 
…そして2年と4ヶ月。
 
つい先月。4月15~17日の日程で日本手の外科学会の学術総会に行ってきたんですが、その学会場で、この訴訟、この事例の指の再接着手術を執刀した先生とお話しする機会がありました。そのとき、手短にですがこの訴訟の顛末をお聞きしました。
 
結審したのはけっこう最近みたいです。地裁で被告側の全面勝訴。原告は控訴をせず(できず?)、この裁判は終わったとのことです。心から「お疲れ様でした。」と申し上げました。本当によかった…。
 

で…2年4ヶ月前の新聞社からのメール返信を思い返します。判決が出た段階で、その結果を伝える報道はされたんでしょうか?大野病院事件や大淀病院事件のように社会問題にまで発展した裁判は判決結果までしっかり報道されましたが、このケース、少なくとも私がネットで検索した限りでは提訴されたときの記事しかヒットしません。この裁判の判決結果を外に向けて伝えるソースは…もしかしたらここだけだったりして?
 
たまたま私は当事者の先生から聞くことができたから顛末を知り得たけど…。「提訴」を報道したマスコミには、それ以上に「判決」をしっかり報道する義務があると思う。訴状より判決のほうが圧倒的に“真実”ですよね。報道・マスコミの大義、存在意義は「真実を伝えること」なんじゃないでしょうか。
 
 
2ちゃんねるスレのまとめ  県立六日町病院、切断指 
http://blog.livedoor.jp/dont_panic/archives/450253.html

もひとつ2ちゃんねる 「指つながんねえぞゴルア!」…3400万賠償請求
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/hosp/1199796096/
 
 
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2010年5月 7日 (金)

ケムリン1号、禁煙1週をクリア(禁煙プロジェクト その5)

後輩医師(ケムリン1号:仮名w)、禁煙1週間経過しました。
(彼の禁煙スタートの話題はこちら
 
なんとか挫折せずに禁煙継続中だそうです。

私もいろんな手を使って彼にプレッシャーかけていて
このブログで彼の禁煙開始を暴露したのもひとつですが
私が設定したペナルティや仕掛けたトラップ(?w)より
「禁煙の薬にもお金がかかってるのよっ!」
と奥さんに言われたのが、この1週間の禁煙中、
彼にとって最もクリティカルヒットだったらしいww
 
私は禁煙を始めてからしばらくの間、2日に1回くらい
「煙草を吸っちゃって、自己嫌悪している夢」
を見て目が醒めたりしてたんですが、ケムリン1号は
「煙草を吸っちゃって、奥さんに謝ってる夢」
をこの1週間で何度も見ているそうで...
そんなに恐妻家だったかなぁ、ケムリン1号(笑)
 
 
俳優の舘ひろしも禁煙に挑戦中ですね。
チャンピックスを使用してドキュメンタリーで動画公開。
お医者さんと禁煙しよう。
http://sugu-kinen.jp/sp/
俳優、有名人がCMで、禁煙補助薬を使って禁煙宣言。
禁煙をリアルタイムに追いかけるので周りも注目しますよね。
こりゃ薬の宣伝効果あるよなーと思いますが…諸刃の剣。
もしそれで禁煙失敗したらマイナスの宣伝効果も大きい。
CM出演、公表して禁煙する以上、意志は固かったんだろうけど…
舘ひろしもファイザー(チャンピックス出してる製薬会社)も
かなーり勇気が必要だったんじゃないかなぁ。
ヘビースモーカーの禁煙スタート時はつらいですもん。

 
ところで、
タバコ銘柄のほぼ大半は今年10月に大幅値上げです。
1箱300円程度の煙草が軒並み400円台になるようで…
喫煙者の財布にはかなり痛いですよね。
 
…と、人ごとのように言える自分が愛おしいww
おっふぉっふぉ┌( ̄0 ̄)┐
 
 
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2010年5月 2日 (日)

GW日直は実況可能か? (当直実況中継 その16)

世の中GWなワケですが…
私は今日から2,3,4日とオンコールです。

んで本日5月2日は、これから日直業務に突入します。

日直というのは休日の8時半〜17時までの当直業務。
夜の当直なら人が寝静まる時間には少し落ち着くけど
人が活動している時間帯の救急外来をあずかるので
ほとんどの場合、当直より日直のほうが忙しい。

特に例年の当院の状況からすると
GWの日直時間帯の救急外来は…大繁盛します。
(繁盛...って言っていいのか?w)
一昨年のエントリー「激Job GW」参照w
http://tsyosh.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/job_3a3f.html
 
日直は当直と勝手が違って救急外来から離れられない、
「昼飯も食えずに磔(はりつけ)状態」になりがちです。
パソコンに戻れず実況をまったくリアルタイム更新できないまま
日直の時間が終了して夜になってから
「今、終わりました…○┼< バタッ」
…ぜんぜん実況になってねーじゃん!
という企画倒れになるのが目に見えるので
今まで日直実況中継は避けていたんですが…
 
今日は副直に研修医ytが付いているので多少書けるはず。
…と期待してww
 
今日は試しにやってみます。
応援コメント大歓迎です♪
 

8:35
取りあえず5分経ったがPHSは鳴らない…。
あ、ほら来た。行ってきます........((((ヘ_ _)ヘ

10:40
意外と言えば意外な展開。
ここまで創傷処置が8人に急患3人、重症やQQ車なし。
合間に病棟の処置や指示出しもできちゃって
身構えたほどの大混雑/大混乱はなく医局に戻れました。
ytがファーストタッチ診てくれてるのも大きい。

9時頃、創治療の患者の処置してたら向こうから
「これからカイザー(帝王切開)の緊急入ります〜!」の声。
産科のセンセ、お疲れ様です。

創処置、犬や猫の動物咬傷の患者が多い印象です。
動物も暖かくて活発になってるんでしょうかね?
咬傷は感染しやすい、感染かぶると治療がたいへんです。
昔書いたのを貼っておきます↓
咬傷(つよぽん医学講座その3)

12:50
やっぱり混んできました。
患者が途切れなくなってきた。
検査の結果待ちの時間を使ってytと交代で昼食。
午後からは特別副直(今日は内科)の先生もいて心強い。
(特別副直ってのは…落ち着いたら後述します。)
 
21:15 
その後はエンドレスで…やっと終わりました。
…と思ったら今また呼ばれた。
骨折らしい。行ってきます........((((ヘ_ _)ヘ

22:45
呼ばれて診た上腕骨頚部(外科頚)骨折でした。
三角巾+バストバンドで保存療法。で帰宅。
ついでにもう一人診て...そっちが入院。
入院指示書いて整形病棟に送り込んで
やっと今日一日が終了...かな。ふぅ。

13〜21時くらいまでのことが全然書けませんでした。
今日の日直、そこがいちばんイロイロあったのになぁ。
途中に挿入して書こうとしていたことも全然...(-_-;)
これで「完」にするには煮え切らない。

このあと振り返ってダラダラ書きます。
まとまりのなーいこの感じ、いつものことだしww
 
0:00
つーことで、勝手に読み手を考えてないつぶやきに突入します。

今日は勉強になった日直でした。
腹痛で虫垂炎の疑いあり、と紹介されてきた患者。
造影CTで描出された画像は虫垂に関しては見た目normal study。
痛い場所も虫垂炎とは違う。で、画像をマウスで転がし
「腎臓が毛羽だって見えるし…腸も腫れてる気がするし…。」
とCT見ながらあれこれつぶやき始めた研修医yt。
院内にいた内科医にCTを見てもらいました。
「右の尿管が追えない、尿管結石もある。
 尿路が遮断されて腎盂腎炎になっているかも。」と。
で、泌尿器科ドクターをコール。ビンゴ。
「尿管結石→溢流→腎盂腎炎。尿路性敗血症を来す危険あり。」
「こういうの、一気にurosepsisで逝っちゃうことあるんですよ。」
だそうで、さっくり緊急手術へ…。
うむむ、正直言ってレトロスペクティブに見ても…
私には、あのCTから泌尿器科的緊急性、読み取れね−。
もし帰宅させて、もしseptic shockで戻って来たりしたら?
全科当直のQ外はこわい。精進します…。
 
0:30
始めちゃったあとに気付いたんですが
「クソ忙しい日直を実況中継する」というのは…
初めてやったつもりが、実はぜんぜん“初の試み”ではなく…
ほんの5ヶ月前の大晦日に日直の実況中継やってましたσ( ̄∇ ̄;)
『パソコンに戻れなくて書けなければ「それはそれ」ということで』
とか今回とおーんなじ言い訳しながらwww
 
いかん…
5ヶ月前に自分が書いたのをすっかり忘れてるという…
頭部CT撮ったほうがいいかも、自分のを。うーん。
  
  
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