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2010年2月10日 (水)

山本病院事件は『過失致死』じゃない...『傷害致死』だ!

ひとつ前の記事『山本病院事件…と大野病院事件』、ぜんぜん頭の整理もできてないままに書いた文章でしたが、いろいろコメント入れてもらって、それに対するレスポンス考えたりするうちに、この事件の位置づけ、自分たち(医師)がこの事件をどう扱うべきかが多少見えてきた気がします。前回の記事コメントで、近森先生に指摘され、ベース医者さんと論点を整理し、ひとつ見つけた具体的に我々医師が主張すべきこと。それは…

山本病院事件は『傷害致死』として告発せよ!
これは決して『業務上過失致死』ではない!

ということです。

今まだ報道、マスコミというフィルターを通してしか情報を得られてない。何が本当で何が間違いか、何が真実で何が嘘か、まだ厳密にはわからない。この事件を検証するにも評価するにも、まだまだ元になるソース、素材の信頼性にかけると言わざるを得ない。だけど…

この事件、この医者は許せないっしょ、理屈抜きで!?この事件で「やっぱり医者ってのは…」とくくられたらたまったもんじゃない!このニュースを見知った世の中の医師の大半がそう思っているはずです。

このケース、良性腫瘍を癌と偽って手術したのです。主治医、執刀医が癌だと信じて手術をして、結果死に至らしめたのなら『業務上過失致死』による起訴が妥当でしょう。でも、ここ数日でだんだん事件の構図が見えてきた。この手術、明らかに癌じゃない、手術が必要ないのがわかってて、癌だと嘘をついて手術をしてますよね。故意犯です。だから…過失致死ではありません。そりゃ最初から意図して殺す気はなかったでしょう。だから…殺人でもありません。この事件は、過失致死事件ではなくて、殺人事件でもなくて、傷害致死事件なのです。

医師免許を『殺人許可証』と言われないためにも、この事件を「医師の過失致死」として処理してはいけません。この事件は「医師が、医師としての業務を行っていて、患者に対し必要な医療行為を行う過程で、医師の過失によって患者が死んだ。」のではなくて「医師免許を持つ犯罪者(あえて“医師”とは言いません)が、金儲けのために、手術が必要だと騙して、患者ではない人を傷害し、結果死なせた。」そういう事件なんです。だって、この手術は医療じゃないんですから。

……
手術のあとに酒飲んでたからどうだとか、いろんな報道に修飾されて、だんだん香ばしくなってきました。ひでぇ病院だ、ひでぇ事件だ、そのとおり、私もそう思います。だけど、だからこそ、歪んだ裁き方をされないよう、しばらくは注目し続け、監視し続けないといけないと思ってます。
 
山本病院事件の問題点は、昼間から飲酒したことではない うろうろドクター

 
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コメント

医師の誤診と悪意 ですね。

ネットでオレ様偉いんだぜオーラばりばりに罵倒している人種がいる限り
「医師はコレだから信用できない バカにしながら頭下げてもちあげてお医者様よろしく~とあわせてやってんだぉ」
とおもわれ続けることでしょう。

投稿: 匿名かかりちょ | 2010年2月10日 (水) 08時24分

>匿名かかりちょさん

誤診ではありません。良性腫瘍と分かっていたのですから。
そして、このような医師(同じ医師と言うのもおぞましい。単なる医師免許を持った人非人です)を援護する医師など1人もいません。
つか、こういう人物が医師の中に沢山いると思い込んでる馬鹿をネットで罵倒する医師こそ、絶対に援護しませんね。
なんか物凄く勘違いなさってますよ。

投稿: くるむほるん | 2010年2月10日 (水) 10時05分

この事件で逮捕された元理事長に対して私はとても強い嫌悪感を持っています。この人を擁護すべき処は一つもないと思っています。

私の周りの医師たちをこの人と同じ『医師』でひとくくりにはされたくありませんね。
知っている医師の中にこの人と同じような医師はいないですから。

マスコミがどのような報道をしていくのか、司法がどう判断するのか、そして自分も冷静に余計なフィルターを介さず注目していきたいと思っています。


投稿: かんちゃん | 2010年2月10日 (水) 12時27分

一般論ですが、沈黙は容認とほぼ同義のように感じます。
報道を見た一般人の多くが、これはひどいと思うケースで、
医師だけが沈黙していれば、容認と受け取られても反論は難しいでしょう。
報道内容が事実なら、医師も一般人同様怒るのだという事実を、
沈黙から読み取る人は多くはないと思います。

やや勇み足?との批判を承知で、あえて声をあげる意味は、
初期発言には、イメージを定着させるインパクトがあるから。
それ以上のものになるかどうかは、今後の展開を待ちます。

投稿: 蝸牛 | 2010年2月10日 (水) 16時08分

蝸牛 さん

そうなんです。 そうなんです。
今 沈黙するのは容認と同じになってしまう。

だから、私達は声を上げ始めたわけなんです。

よいことをおっしゃってくださいました。

投稿: ベース医者 | 2010年2月10日 (水) 19時59分

>ベース医者さん
お褒めにあずかり、恐縮です。
「最大の悲劇は悪人の暴力ではなく、善人の沈黙である」
という言葉もあります。
容認せずとの言挙げに気付く人が増えるといいですね。

投稿: 蝸牛 | 2010年2月10日 (水) 20時24分

>匿名かかりちょさん

コメントありがとうございます。
ご指摘を真摯に受け止めたいと思います。
確かに「オレ様偉いんだぜオーラばりばり」の医師もいると思う。
それはネット上に限らず、リアルな医療現場にも。
自分が知らずとそういう態度になっていないか、
ときどき自分を鏡で見るようにしようと思います。

>くるむほるんさん

こういう事件のインパクトは大きいですよね。
山本容疑者のようの人物がひとりいるだけで、
そういうのが医師の中に沢山いると思われてしまう。
そうじゃないとわかってもらうには何が最も効果的か、
我々は考えなきゃならないですね。

投稿: つよぽん | 2010年2月10日 (水) 20時38分

>かんちゃん

ですよね。
この事件を医療全体の体質の問題のように語られたら、
見えるものも見えなくなります。
どういう切り口なら見えるものが見えるようになるか、
そこを考えないと…。
で、冷静に余計なフィルターを介さず、
でも全くフィルターなしにはなり得ないから
自分というフィルターを研ぎ澄ましつつ注目していましょう。

>蝸牛さん

沈黙は容認とほぼ同義…いやまさにほんと、そのとおりです。
特に今回の事件にはその言葉がものすごく重く響きます。
やや勇み足?との批判を承知で、あえて声をあげる意味…
そうなんです、承知の上でのフライング、確信犯の勇み足です。
なんか、舌足らずで語り尽くせずにいた私の意図を
ぜんぶ蝸牛さんに解説してもらっちゃった気分です(笑)

投稿: つよぽん | 2010年2月10日 (水) 21時18分

>ベース医者さん

どれくらい遠くまで届くか、響くか、わかりませんけど、
何ができるか考えましょう、んでやってみましょう。
この件、私にスイッチが入ったのはベース医者さんのせいですからね(笑)

>蝸牛さん

上のコメントで私も褒めましたけど恐縮しないでくださいね♪
あ、私が褒めたんじゃ恐縮するわけないかww

投稿: つよぽん | 2010年2月10日 (水) 21時28分

「オレ様偉いんだぜオーラばりばり」の医師コメントがすぐついた。これ沈黙しない一般人の感想ね。

「最大の悲劇は悪人の暴力ではなく、善人の沈黙である」

投稿: もも | 2010年2月11日 (木) 00時17分

>この事件で「やっぱり医者ってのは…」とくくられたらたまったもんじゃない!

このままでは、医師と患者の信頼関係を失ってしまうと私も思います。
何人かが裁きを受たけとしても、社会に医師と患者の信頼関係を失ってしまっては、この事件一件落着とはいきませんね。


山本病院事件では繰り返し、多くの患者さんへ偽った医療行為を行ってきている。
繰り返し偽った医療行為を行うために、巧妙な手口が明らかになっていく。
真実なのでしょう。
さらに詳しくこの事件が報道され、山本病院側に何か事情があったことが報道されたとしても、
医学的専門知識を持ち合わせない多くの一般人は、ひとくくりに医師と患者の関係に不信感が出来てくると思います。


最大の損失は、医師と患者の信頼関係を失い良い医療が、提供できな社会。良い医療の提供が受けられない社会です。
これにて一件落着になるように、マスコミ側には一肌脱いでもらいたいです。

投稿: 茶壺 | 2010年2月11日 (木) 11時45分

 この件は、法律な方からは一段下げて 確実な線を狙ったと感じるらしいのですが、手術に向かっている自分としては、手術というものは不確実で、一人一人体の臓器位置と大きさは違っており、なにがあるかわからず、その事故発生可能性のすべてに準備をしようとすれば、一例一例がとんでもない装備になり、非現実的であり、常に「理論的準備不足」が成立してしまう状況下で行われている点から、逆にまったく立件不確実な線にみえてしまうことが どうもいけません。 この術中事故に対する確実な回避方は手術をしないことに他なりません。

また、この罪状で有罪となったら 外側区域の先端のちょっとしたものを取るのに肝切除というだけで10単位も輸血を用意しなければならないとなりかねません。どこでどの程度の輸血を要するか、それは、裁判所がきめることではないと思います。

まあ、なんどでも書くわけですが、それよりも、この件における確実な死亡回避ポイントとは、十分な考慮時間を持てる診断段階にあり、しかもこの疾患の種類と行われた検査からは完全に癌と鑑別可能であったと推察されるので、故意でないかぎり癌としての治療はなされない・・・を立証するほうが簡単に思えるし、そうしていただきたいし、協力もできると思うわけです。

この 「一段下げて確実な線」というのが この件では逆効果であることを どうやったら法律な方にわかっていただけるのか・・・その背景には手術の不確実さの実感というものの共有がないといけないのか・・・と ごちゃごちゃ考えています。

投稿: ベース医者 | 2010年2月12日 (金) 10時56分

日ごとにいろいろな情報が交錯してきて、どれが真実でどれが怪しいのか?どの情報を信じていいのか?この事件の論点はどこなのか・・・難しいです。。
手術経験や輸血準備などが不十分なまま腫瘍摘出手術に踏み切った事がいけないのか
良性腫瘍を悪性腫瘍として偽って手術した事がいけないのか
そもそも、山本容疑者は良性と悪性の判断が出来たのか
ん~~~~。。。
警察やマスコミの発表をどこまで信じていいのか
誰の言葉を“真”としていいのか

素人には本当にわからない事ばかりです。

投稿: まりん | 2010年2月14日 (日) 11時29分

まりん さん 良性疾患でもFNHという画像上は癌との鑑別が微妙な代物もございます。

しかし、これは血管腫ですから、癌と画像上鑑別が難しいというのなら、珍しすぎて論文になっちゃう代物なんです。

>素人には本当にわからない事ばかりです

 ですから、私ども医師が 発信していきます。医師は同業をかばうものだと信じている方もおいでですが、背景知識が同じなだけ。だから同じ意見をもつ。それが庇いあいにみえるだけ。
 そして、その背景知識をもって この容疑者への断罪の声を上げているわけなんです。

これは傷害致死罪です。

投稿: ベース医者 | 2010年2月15日 (月) 21時19分

ベース医者さん。

>背景知識が同じなだけ。だから同じ意見をもつ。それが庇いあいにみえるだけ。

ハッといたしました。なるほどです。
そうですね、そこが素人には残念ながら今まで「庇い合い」に見えてしまっていた理由なのですね。
ここ数日は報道もすっかり静かになってしまい、人々の胸には「また酷い医者が・・・」という“また”と残ってしまっている感がします。ですが、今回のこの事件は全く別物!という事をそちら側が大きな声で世間に訴えていく事が大事なのかもしれません。“また”と言われないためにも。

投稿: まりん | 2010年2月21日 (日) 20時45分

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