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2008年8月30日 (土)

8月20日、福島レポート

大野病院事件の判決が下った8月20日、
無罪判決でホッと胸をなで下ろしたのもつかの間、
医師と患者の対立構造を煽り、両者の溝をほじくり返すような記事が
判決の20日を境に、かえって目立つようになった気がしていました。
(そういう目で追っているからかもしれませんが。)
 
検察が控訴できるタイムリミットは判決後2週間です。
そして10日を経過した昨日8月29日、
「福島地検は控訴断念」というニュースが流れました。
確定した…やっと少し喜べる自分がいます。
 
27日から「控訴断念を検討中」という記事は出ていましたが、
それでもまだ私は素直に喜べない、座り心地の悪い気分でした。
「控訴を断念することになりそうだ」そういう記事をリークして
「断念するな、控訴しろ!」という世論を喚起しようとしているのかも。
踊らされないように用心深く考えなきゃ、用心深く発言しなきゃ…。
考えすぎと思いつつ、勘ぐって口が重たくなる自分がいました。
(いや、私が吠えたって何も変わらないわけですが(^^;))
 
 
ということで無罪確定となった今、
(なにが「ということで」なのかわからんけどw)
ブログを10日間放置していた私の超個人的福島レポートです。
 
 
8月20日、
水曜日の平日ですが私は外来を休診にして福島に行きました。
判決公判開始は10時ですが私が福島に到着するのは11時頃。
シンポジウムは午後2時からなのでそれに間に合えばいい。
と思いつつ、開廷の10時前後は運転しながらそわそわしてました。
 
速報が出るのは何時頃だろう…。
無罪だったら?有罪だったら?
判決のあと、何か自分の心に変化があるだろうか?
 
そんなことを漠然と考えながらの高速道路上
クルマを福島に向けて走らせる私に
10:04 携帯メールが入りました。
東京から福島入りして裁判所の前にいる友人K医師からです。
サービスエリアに入って駐車し、メールを開く。
 
今判決出た。無罪!
 
うん…。ちょっと放心…。
そして「ありがとう!!」と返信。
何に“ありがとう”なのか自分でもよくわかりません。
判決に?メールをくれたK氏に?
それから約30分…車を止めたままなんとなく脱力状態w
運転席に身体を沈め、晴れ上がった空を眺めていました。
中古つよぽんカーはオープンですsun
 
10:45 同じKさんから再度メール。
「ホテルグリーンパレス701に集合」
ん?…どうやら、シンポジウム出席のために
全国から福島に集まった仲間が集合するらしい。
なら急がねば。私はまた車を走らせました。
 
到着。
ホテルの701号室は和室のある広い部屋でした。
すでに十数人の医師、ジャーナリストが集合していました。
仲間、顔見知り、知っている顔がたくさん。
それぞれに皆、明るい表情で賑やかに話しています。
付けたままのテレビに無罪判決の報道が流れました。
スッと静かになり誰かがテレビのボリュームを上げ、聞き入る。
その報道の一語一句にまた議論が始まり賑やかになる。
 
と、そこに…「駅前で配ってたよ。」
そう言って部屋に入ってきたある医師の手には号外が。
 
Photo
 
皆でのぞき込む。「福島民報」の号外でした。
見出しを、記事を見て誰かがツッコミを入れました。
「無罪判決なのに、まだ“過誤”って書いてる!」
 
さて、そろそろシンポジウム会場に行きましょうか。
会場は同じホテルの大きな会議室です。
準備を手伝う人、受付をする人、しゃべる人、
それぞれがそれぞれに移動し、動き始めました。
 
シンポジウムの内容は…私が下手に書くよりは…
下記で詳しくレポートされているので興味のある方はどぞ。
(て、手抜きって言うな〜w)
シンポジウム
『福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える』

 
想像していたより大規模な企画、大勢が集まったなーと。
特に、国会議員が何人も来ていたのは意外でした。
それぞれ座長の上先生がコメントを求め、発言しています。
 
記者会見を終え、遅れて会場入りしたのは
福島県立医大産婦人科教授・佐藤章氏。
その日一日の疲れが顔に出てはいるけれど安堵の表情で
「皆様方の多大なるご支援のおかげをもちまして…。」
深々と頭を下げる姿は、逮捕から2年半の重みを想像させる
本当に心のこもった姿でした。
 
シンポジウムですから後半は会場からの発言も含めた
ディスカッションです。そこでも集大成的に事件を振り返る、
そしてこれからの医療を考える貴重な発言が次々と…。
書ききれません。(←最近このフレーズが私の逃げ口上(汗))
 
シンポジウムは30分延長して終了。
うん、来てよかった。さてメシでも食ってから帰ろうか。
無罪の第一報をくれたKさんと二人、福島駅に向かいました。
駅前の横断歩道、赤信号で立ち止まっていると
横断歩道の向こう側にシンポジウム会場で見た顔が…
 
つよ「ありゃ、ほらほら、あれ鈴木寬じゃね?」
K氏「あ、ほんとだ。」
 
シンポジウムで発言もしていた民主党の鈴木寬さんでした。
信号が青になり鈴木寬議員と我々二人はすれ違う。
すずかんさんに「シンポジウムお疲れ様でした。」と会釈だけして…
と思いきやKさん、すれ違いざまに、すずかんを引き留め
「ちょーっといいっすかぁ?」
路上で羽交い締めしそうな勢いで参議院議員に議論ふっかけるw
恐るべし、Dr.K…ぃゃそゆ性格なのは十分知ってましたが(笑)
 
「教育から変えていかなきゃダメです。
 中学校で医療の現状や今後を考えさせるプログラムを。
 小学生には難しい、高校生にはストレートに伝わらない。
 中学でそういう教育するのがいい。必要なんですよ。」
 
すずかんを拉致してスイッチオン。持論を熱く展開するK氏w
また素晴らしいと思ったのは、このゲリラ的な急襲をかわさず
呼応して、がっぷり受けて立つすずかんさんでした。
 
「うんうん、先生のおっしゃるとおりです。
 私も医療に限らず教育は本当に大事と思っている。
 教育の再興、コミュニティスクール…構想を進めてますよ。」
 
私も加わり、しばらく路上ゲリラ討論は続きました。
ふむ、なかなか熱い人です、すずかんさん。
 
そして駅ビル内でメシ(うなぎ釜飯w)食って…
外に出れば少し涼しさを感じる晩夏の夕暮れ時。
 
いつもパワフル、ハイテンションではあるけれど
福島で更にスイッチオンして壊れた大型犬、K氏に見送られ
中古つよぽんカーの幌を全開にして、
気持ちのよい風と夕焼けに染まった赤い景色の中、
 
「無罪」
 
あらためて脳内で反芻しつつ帰路に着いたのだった。
 
 
ということでシンポジウムだけでなく、
その前後も得るものが多かった私の8月20日。
メインとなるはずのシンポジウム中抜きの(?)
超個人的福島レポートでしたm(_ _)m

 
 
−後記−
 
…無罪判決。そして控訴断念。
よかったです。
 
ひとつの区切りにはなりうると思います。
でも私の中でこの事件は終わってません。
などとわざわざ書くと「当たり前だ」と突っ込まれちゃいそうです。
おそらく他の多くの人たちにとっても終わりじゃない。
医師の立場で、遺族の立場で、報道の立場で、一般の人々の立場で、
そして無罪を望んだ人にも、有罪を望んだ人にも、
それぞれの「終わらせられない何か」があるはずです。
 
終われないってだけでもない。更に…
この8月20日の前後、無罪判決とその報道、膨大な情報、
ニュース、論説、ブログ、掲示板での意見、議論。
ネットで、テレビで、誌上/紙上で、新しく見えてきた壁もある。
 
 
まだこれからです。
振り返りつつ一歩また前へ…。

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コメント

お、一番、やったね ヽ(・∀・)ノ゜+.゜☆

皆々様、お疲れ様でした、本当に。
ここには書ききれないので割愛します(手抜き? w)

そしてK氏、ナイスw

私は草の根活動をしていきますかねぇ。

投稿: ひー (・ω・` | 2008年8月30日 (土) 14時47分

お!いかにもK氏ですねwww
さすがです。
で、ほっとしました。

投稿: marisu | 2008年8月30日 (土) 15時12分

8月20日以降、何度もこちらのブログにやってきましたが、なかなか無罪判決に対するコメントが更新されず、"もしかして無罪確定になるまでつよぽん先生はコメントを控えているのでは??"と勝手に考えておりました。

私の職場では、8月20日の朝から「今日って判決の日だよね?」と会話がなされ、なぜか仕事中にYAHOOニュースを開いた誰かが「無罪だって~」となり、予想以上に多くの人が注目しているんだと改めて気づきました。

なんて、まとまりのない感じですいません。あのボールペン、結構書き味がいいんですよ。

では、また…。

投稿: | 2008年8月30日 (土) 17時38分

去年までなら、TVや新聞の見出しだけを見て、
こんな感想を抱いていたかもしれません。
「また医療ミスが無罪になったのね」
今年は「無罪は当然」と思っています。

知らない世界も、学ぶことでほんの少し見えてくることがある。
素人だから、無能だから、理解できないとあきらめず、
知ろうとすることで別の視点を得られることもあると知りました。

この裁判になんの意味があったのかという思いは今も強いけれど、
パンドラの箱の底の希望を信じたいと思います。
つよぽんブログも希望のひとつと信じて。

投稿: 蝸牛 | 2008年8月30日 (土) 20時49分

 お疲れさまですた★また今度はじっくり語りましょう、飲みましょう、そして歌いましょう?(この前は、夏風邪モードですた・・・汗)

投稿: skyteam | 2008年8月30日 (土) 22時16分

>ひー (・ω・`さん
草の根活動、やってくださーい!
地道だけど、それがイチバン安定した危なげない活動なんです。

>マリスさん
でしょでしょ、いかにもK氏でしょ(笑)

>??
何度も来てくれていたんですね。
更新が遅くてすんません。
控訴断念、結論が出るのを待っていたのもひとつ、
でも仕事と遊びが忙しすぎて書く時間がなかったのが本音っす(ボソ

>蝸牛さん
知り合ったばかりの頃の蝸牛さん→今の蝸牛さん。
どんどん飛躍していってますね〜。
私は蝸牛さん自身も箱の底の希望のひとつと信じてます。

投稿: つよぽん@日直突入 | 2008年8月31日 (日) 11時35分

>skyteamさん
センセこそお疲れ様ですた〜!
まだまだ、これから考えること、やること、てんこ盛りですよね。
いろいろご一緒させてくだちゃい♪

投稿: つよぽん@日直佳境 | 2008年8月31日 (日) 12時52分

つよぽんせんせー,日直乙です.flair

というか,昨日といいその前といい,
本当にありがとうございました!happy02
特に昨日は拘束でも何でもないのに,
偶々その場に居合わせたのをこれ幸いと
「あ,つよぽんせんせー拉致っちゃえ」coldsweats01
的なノリであんなことに… orz
感謝の念に堪えません.

8月20日から10日ほど経ちましたが,
表だっては大きな変化はなさそうですね.
もし有罪だったらもっと劇的に変化していた
可能性が高かったことを考えると,
逆に風化してしまいそうな気もします.

一般の方のコメントに
「これで『また医療ミスができる』って医者が思う様になる」
というものもありました.
かなり極端な意見だとは思いますが,
・医療ミスをしたくてしている医者は恐らく皆無
・偶発症や合併症と医療過誤は別物
ということはまだまだ理解されていないのでしょう.

この辺りは医者サイドが声高に叫んでも
「また医者同士でかばい合っている」となってしまいそうなので,
理解のある報道関係者の協力が不可欠かもです.

あと,上の新聞で「麻酔記録などから」という記載に
少しドキッとしてしまいました.wobbly
普段何気なく記載しているカルテや記録,
必要以上に意識するのも違う気がしますが,
れっきとした公的文章ということを再確認です.
(そういえば,一時期“カルテ改ざん”という言葉をよく
 新聞とかで目にした様な気もしますが…)

あー 眠くて文章が滅茶苦茶です.スマソcrying
今週は平和だといーなー

投稿: J@当直明け | 2008年8月31日 (日) 15時00分

水曜じゃなかったら行ったかもなあ・・
でも無罪で何よりです。

投稿: LUPO | 2008年9月 1日 (月) 13時00分


>Jさん
いや当直お疲れさんでちた。
たまたま救外に降りたら頭からぴゅーぴゅー血ぃ吹いてる患者、
タイミングがよすぎでしたねーcoldsweats01
必要以上に意識するのも違う気が…
と書いてましたがホントそうですよね。
患者とトラブルになる前からトラブルを意識したカルテ記載や
身構えたりとか、そんな気持ちで仕事するのは楽しくないっす。
雑に、とか、大雑把に、とか、手を抜いて、とかじゃなく
伸び伸びと、生き生きと仕事がしたいですよね。
そんな社会になるといいなぁ。

>LUPOさん
そこから福島はすっげー遠いと思うんだけど…
地球のどこでも神出鬼没だもんね、LUPO隊長はww

投稿: つよぽん | 2008年9月 1日 (月) 14時25分

シンポジウム・・お疲れ様でした。

私の周囲にはこの裁判の行方を気にしていたのは一部だけでした。
若い子はその事実すら知らない。

知る権利、報道の自由・・・確かに大事なことなんですが、声高に言われる事に違和感を覚えることがあります。
報道に携わる方たちも冷静に事実を客観的に多方向から見極めて報道してほしいと思います。
一方向から事実を歪曲した悪意としか感じられない報道・記事を見ると空しくなります。

私たちが日々行っている業務、主観的ではなく客観的に、力を入れすぎずにプロらしく行っていきたいと思います。

とりとめもなくなってしまいました・・・

投稿: かんちゃん | 2008年9月 2日 (火) 07時19分

>かんちゃん
事実を歪曲した報道、本当に嫌気がさします。
なかなか、それはなくならないと思います。
好き勝手なバカバカしい報道が撒き散らされる現状は
(逆説的ですが)ある意味で社会が健全な証拠かもしれない。
真摯なマスコミの中にマスゴミも混じりつつ
マスゴミが軽蔑される社会になればいい、
そういう社会を我々が作っていく、
そんなアプローチがベストなのかなと思います。

投稿: つよぽん | 2008年9月 5日 (金) 12時37分

「妊婦さんの笑顔を見たい」
【大野事件・加藤医師が公開シンポで講演】
~~ロハス・メディカル~~
http://lohasmedical.jp/news/2011/10/13145147.php?page=1

あれからもう3年が経過してるのですね。。

投稿: | 2011年10月16日 (日) 08時04分

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