8.9 夏期研修会 その2(野村麻実氏)
さて、夏期研修会レポート その2
長〜〜い前振りのその1に続いて本会のレポートに入りますが
…実はあちこちで参加者、取材者によるブログやニュース記事、
詳細なレポートがすでに書かれちゃっているんですよね…。
あたた〜「なんちゃって記録係」の私は洋梨鴨…σ(T_T)
いやいや、めげないもんねw
さて本会のスタートは医療制度研究会の理事長、中澤堅次氏の挨拶から。
この夏期研修会開催に至る経緯です。
この研修会、企画当初は…
「医療制度研究会の幹事で集まって勉強しようね〜。」
というものでしたが、構想を練っているうちに若い会員たちが
どんどん内容をふくらませていくことになり、
このような二部構成の会ができあがりました。
企画立案の経過でドタバタして開催の紹介が遅れたりもしましたが
(私もドタバタアタフタしたうちの一人かもw)
たくさんの方々にお集まりいただいてありがとうございます。
(企画がゼロから動き出して1ヶ月でした…よくぞここまで…)
今日は二部構成。
第1部:大野病院事件から第三次試案大綱までを振り返る
第2部:医療崩壊から医療再生への模索
と会の概要と演者を紹介し、本会スタート。
【大野病院事件によって浮き彫りにされた問題点】
国立病院機構名古屋医療センター産婦人科 野村麻実氏
講演内容の詳細は私が議事録的に記載するよりも…
ブログ「産科医療のこれから」できっちり記事にされています。
野村麻実氏の講演の完全版を見たい方はこちら
(やっぱり…お、お得意の手抜きつよぽんか…(-_-;))
まずは事件の概要の説明から野村先生の講演は始まります。
加藤先生は術中エコーまでやって体部をU切開してアプローチ。
これは十分先進的な医療について勉強している処置、対応です。
と、加藤先生が技術的に信頼のおける医師であったことを強調。
一人医長…病院に産科医は一人。我々整形外科もそうですが
病院の診療科を一人でやっていると勉強や議論の機会が減り
だんだん「自分のやり方」だけに偏りがちになります。
加藤先生は一人医長をしつつ、よく勉強している先生だった…。
そして逮捕までの経過を説明。
ミスを認めたら遺族への補償がしやすくなる。だからか…
県の事故調査委員会はミスを認める見解を出します。
その報告書から警察が動き出し…逮捕へ。
…これが全ての始まりでした。
野村先生はそこから先も経時的に事件を説明しつつ
時間の流れのポイントポイントで立ち止まり、
たたみかけるように次々と問題点を指摘していきます。
・医師法21条違反?
→そもそも当事者側(病院、医師)は死亡に至る経過を
正当な医療の結果と判断していたのだから
届け出なかったのは当たり前じゃないのか?
・在宅起訴じゃなくて逮捕?
→逃亡の恐れもないのに、どーしてタイーホなんじゃ!?
人質司法…逮捕して自白調書を取る(密室で吐かせる)ため?
・医師逮捕で富岡署が表彰?
→逮捕しにくい職業や立場の人間を逮捕すれば手柄?
現役の政治家逮捕したらスゲーぜ!と同じ感覚ですか?
医者を逮捕したのはGJ!!…ってことかよ!?
・そして福島の医療は…?
→事件前でさえ医師不足〜崩壊が進んでいた福島県なのに
トドメを刺すつもりなのか…!?
・鑑定医の専門性は?
→産科の専門的な判断をなぜ婦人科医に委ねるんじゃ?
(鑑定医はなぜか産科領域に明るいとは言えない
婦人科、腫瘍を専門としている教授なのだった。)
だから弁護側は産科領域の専門家の発言を集めたのに…。
・しかしマスコミの論調は…
→「産科の権威を集めて医者のかばいあいかよ」という論調。
より専門的に信頼できる証言を集めて何がいけない?
それを“かばいあい”と言われたら…どうすりゃいーのだ!?
・医師の裁量権って?
→医療のプロが素人な検事に問われ、素人の裁判官に裁かれる?
勉強し、理解しようとしているならまだしも…
そもそも産科と婦人科の専門性の違いすら理解してないのが
鑑定医の選択からも明らかだし。
・大山鳴動してねずみ一匹?
→2年半の大騒ぎをして求刑は…禁固1年+罰金10万円…orz
受けた求刑と社会的制裁の落差があまりにも大きい、
そして起こした社会現象との落差はもっともっと大きいよなぁ
・刑事訴追で裁けるのは何?
→刑事裁判って個人を罰するシステムでしかないっすよね?
例えば助手をした外科医、麻酔科医、院長、看護師…
関わった他の人間に起因することは争点になりにくい。
医療ってチームで行うものでありシステムなんだけどね。
だから「医療と裁判ってそもそも相性が悪いものである。」
というのは納得です。
・裁判というものへの誤解
→裁判とは…真実を探す場でも弱者救済の場でもない。
正当性を主張しあう戦う場でしかない。
医師は「自分は悪くなかった!」と言うしかない。
そんな戦場では患者家族の心の傷は広がるだけ…ですよね。
でも、裁判は弱者救済の場ではない、というのも事実です。
た〜くさん書いた気がしますが、それでもかなり省略してます。
んで私の主観もごちゃ混ぜになってます(-_-;)。ご容赦を。
そして講演の締めに入った野村先生が提示したのは…
この事件を境に急カーブを描いてどんどん減っていった
福島の、日本の、産婦人科医師数のグラフです。
事件をきっかけに起こった社会現象はなんだったのか、
地域医療はどうなったのか、どうなっていくのか、
考え続けなければならない。
最後はこのスライドでした。
シンポジウム
「福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える」
30分という短い時間に大野病院事件を全て凝縮した講演でした。
スゲー、よくまとめたよなぁ…野村センセ、GJです。
聞いていて感じたのは、辛辣なコメントをマシンガンのように
あれだけ乱射(?)しつつも、患者側、遺族側を否定・批判する
ような発言が一切なかった、ということです。
んなこと書くと野村先生には「当然じゃん」と言われそうですが
判決の日を間近にひかえるこの日の講演ですし、ね…。
…記録係とか議事録とかって気合い入れちゃったもんで
なるべく講演内容を漏らさず伝えようと頑張り杉ました。
自分らしくないエントリーになった気もしますが…(^^;)
でもせっかく書いたしのもったいないから出しちゃいます!
次回メディア側からの提言「真々田さんの巻」はもうちっと
軽め短めに行きます。とか言ってまたこんな感じになるかもなぁ…。
私って根が真面目だからなぁ…。
↑
突っ込みどころじゃありません、断じてw
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コメント
講演のまとめありがとうございます。
やはり読むだけで苦しいですが、少しでも多くの人の理解が深まればと思います。
投稿: LUPO | 2008年8月14日 (木) 14時55分
参加できなかった素人にもわかりやすく、
ポイントを整理してくださってありがとうございます。
何が問題なのか、少しでも理解していきたいです。
投稿: 蝸牛 | 2008年8月15日 (金) 02時36分
>LUPOさん
読むだけで苦しい…現場の産科医が抱くその気持ちは
私が「わかります」と言えないくらいのものがあると感じてます。
>蝸牛さん
我々は我々の視点でしか語れないけど
理解を深めてもらう、そして考えてもらう、
その手助けができればよいのだけど…。
投稿: つよぽん | 2008年8月15日 (金) 11時43分
LUPOさま、頑張らなくってもいいですよ~(>▽<)!!
ほよよよんと。(無理か)
みんな疲れてきていますよね。。。
この前、マリスさまにお会いしました!
つよぽん先生の方が分かりやすい(>_<)!!!
なんででしょうか。(やっぱりダラダラ書きはダメですねw)
投稿: 僻地の産科医 | 2008年8月15日 (金) 13時47分
>僻地の産科医さん
僻地の産科医さんのブログに書かれていた全内容もすごくわかりやすかったですよ~~
いつかお会いしたいです!
投稿: LUPO | 2008年8月15日 (金) 14時55分
>僻地の産科医さん
私も僻地の産科医さんのブログ、判りやすいと思いました。
それぞれがそれぞれの持ち味を出して素敵です!
投稿: | 2008年8月15日 (金) 15時09分
あ、名前忘れた。↑マリスからです。
投稿: マリス | 2008年8月15日 (金) 15時10分