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2008年4月 1日 (火)

医師の誤診と悪意 その2

その1はこちら

「時々新聞等に登場してくるような悪意のあるお医者さんもいる。」
「医師の誤診や悪意から逃れるためにもセカンドオピニオンは必要でしょ?」

医療コミュニティでそんな問いかけを受けました。
私に対する名指しの質問でした。

それがセカンドオピニオン?…なんか違うよなぁ…。

私は違和感を覚えました。
しかし医師側からの視点と、患者側からの視点。
立ち位置が違えば考え方も同じになるはずはない。
違って当然。だから対立も憎しみも生じる。
そしてすれ違いも争いも医療訴訟も。
でも感謝や慈愛や感動も、医療現場にはある。
それが日々小さなドラマを見せてくれたりもする。

最初の問いかけは“疑う”ことから始めている。
なぜ“信じる”ことから始められないんだろうか?
ややこしいこと考えずに、
患者が医師を信頼する、医師が患者を信頼する、
みんなが信頼関係というスタート地点から始められたら…
医療現場はもっと単純明快に、ハッピーなるだろうに。

そんな脳天気なことを考えて自分なりの回答を作り
そして新たな議論のテーマとして投下しました。
そのタイトルが「医師の誤診と悪意」です。
そのあと「患者と医師の人間関係とは?」という議論に展開し
2日間で250以上のレスが付き、有意義な内容満載で、
起承転結のある秀逸なトピックに育ちました。

その時に書いた最初の…
議論のきっかけになった文章を
ブログ用に少しだけ改編して紹介します。
んでこのネタ、しばらくその後の議論の展開から
自分の発言を抽出するシリーズで行きます。

ん?手抜き? 気のせいです┌( ̄0 ̄)┐

このブログ読んだ方も…気が向いたらコメント下さいね〜note


【医師の誤診と悪意】 byつよぽん 2007.06.11

他トピでご指名の質問を受けてのトピ立てです。

医師も誤診することがあります。悪意のある医師もいる。
そういう場合にもセカンドオピニオンは必要ではないだろうか?
そんな内容だったと思います。

「誤診を疑うならぜひセカンドオピニオンをご利用ください。
 紹介状を書くのを拒否されて、書かない理由の説明もないならば
 他医を受診してください。」

ただし○○さんのおっしゃっていた
「時々新聞等に登場してくるような、悪意のあるお医者さん」
は一般の人々が想像するより極めて少ない。
マスコミの偏った報道が医師の誤診や悪意の不安をあおっています。

少なくとも私は、どのトピックでも、
「医師は善良で不完全な普通の人間である
       →(少なくとも患者に対しては)悪意はない。」
「医師(医療)は神でも万能な存在でもない
       →誤診することも(望む結果にならないことも)あり得る。」

という前提でコメントをしているつもりです。
おそらく、ここでよくコメントをくれる他の医師達も同じではないでしょうか。

非常にまれな「医師の悪意」を想定したら何も語れません。
診断、治療に関わる患者側の間違い、詐病、
そして医師に対して悪意のある患者もわずかながら存在します。
それを疑ったら医師と患者の人間関係は最初から成立しないでしょ? 
我々医師も患者を人間として信用した上で治療しているつもりです。

医師も患者も善良である、という出発点で書いていると
「きれい事」っぽい、嘘くさい印象を持たれるかもしれませんね。
そのとおり、きれい事です。 でも、
医療という場は、人間関係においては
「きれい事」から始めなければ成り立たないのです。

以上、今の私の“医師側からの”考えです。
患者側、医師側からのご意見、それ以外の医療従事者、
患者ではないいろんな人々の意見もいただきたいです。

誤診しまくるヤブ医者、患者が札束にしか見えない悪徳医師、
詐病患者様、医療訴訟が大好きな患者様のご意見は
特に歓迎いたします(・∀・)v

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医師の誤診と悪意シリーズ」カテゴリの記事

コメント

 色んな患者さんがみえます。中には一度ならず二度三度とひどい目(患者さんにとっては・・・)に遭われた方もみえます。もっとも、情報がないから、どうしても外部にコントロールされたりネガティブな情報に引きずられるのが普通の人ですね。やっぱり対話が不足しているんでしょうね。まだ、これからですにゃ☆

投稿: skyteam | 2008年4月 2日 (水) 01時33分

つよぽん先生 今日もお疲れ様です

今日サカナは社員300人を抱える社長さんの頚椎々弓形成術及び頸Loveを無事終えました...
もしこの手術で失敗し麻痺を作ったら、一体何億の賠償をしなければいけないのか??という事が術中常に頭の中をよぎりました。成功して当たり前。この手術に成功したからと言って全くボーナスはありません。
サカナは、こんな若造医師に自分の頸を預けてくれたという信頼にただ応えるだけでした...
社長さんだからと言って、解剖は一緒と言い聞かせながら。
こんな仕事いつまで続くかな~...フー

石川遼はたった1勝しかしていないのに、CM契約料22億円なんですってぇ!!もう一回フー

投稿: サカナくん | 2008年4月 2日 (水) 23時09分

そもそもセカンドオピニオンは「診断」を求めるものではなく、「より安い治療方法」を保険会社が患者に指示するための手段として生まれたものです。
診断が正しいかどうかなんて関係ないんです。
「より安くすませるための手段」なんです。
二人の医者が同じ患者さんを診察してAとBという治療方法が提示した場合、保険会社が安くすむ方を指示するのです。患者さんの選択権はありません。もちろん保険を使わなければ選べます。
もちろん二人の医者が同じ治療方法を提示すればそれでいくことになります。

投稿: ずっと勤務医 | 2008年4月 2日 (水) 23時33分

つよぽん先生、お久しぶりです。

>頸Love

ひぇ~~(@_@;
最近は、こんな手術もやるんですかい?
薄氷を踏むような手術にチャレンジなさる勇気に
脱帽です。

25年以上前のフレッシュマンだった時代に、
当時のオーベンに、
「腰のLove みたいな手術を、頚椎にもできないんですか?」
と訊ねたら、オーベンはニッコリ笑って、
「怖くって!」

ではでは、また来ます。

投稿: 25-25 | 2008年4月 3日 (木) 09時20分

>skyteamさん

対話が不足…うーん、耳が痛いです(汗)
受け持ちの入院患者が20〜30人、
外来も決まった時間内にこなさなきゃいけない中で
どれだけの対話を、と考えると密度の濃さや
やっぱり患者ひとりひとりに対して
患者の目線で見る能力を養わなきゃならんですね…。

>サカナくん

そっちの病院に行ってからも
どんどんスキルアップしているようですね〜。
サカナくんは絶対大成すると思って楽しみにしてます。
患者にも医師(先輩・後輩)へも気配りが自然。
うちに来る前は、そんなキャラと思ってませんでしたww

CM契約料22億円…1勝で、でしょ?むむー(ー.ー")
そんだけ稼ぐには私は5生くらいしなきゃかも(T_T)

>ずっと勤務医さん

ありがとうございます♪
いやー正直言って背景は知りませんでした。
コメントを読んでセカンドオピニオンが米国で生まれた背景を
調べたら…そうなんですねー。勉強になりました。
せっかくなので調べたリンクを貼っておきます。
http://www.hasima-city.gifu.med.or.jp/nichii/second-opinion..htm

>25-25さん

おおおおおおおおおお〜!25-25棟梁!!
コメント書きに来てくれてありがとうございます♪
「くびらぶ」いや、私はやりませんよ、怖くてww
そーゆー手術を毎日のようにやっている脊椎外科専門の人たちは
技術だけでなく精神的にも強いのかなぁ、と思います。
私は手の外科が専門ですから、マイクロで指つなぐ、とか
そういうのはストレスないんですけどね(^^;)
それぞれの専門性に対する意識とか“慣れ"なんですかねー。

投稿: つよぽん | 2008年4月 4日 (金) 11時57分

入院患者さんに関しては、回診時が一番大事だと思うんですよね。

外来患者さんは…というか、僕が想像するにつよぽん先生は「気さくな良いお医者さん」なんじゃないかと思います。

投稿: ZEBRA | 2008年4月 4日 (金) 13時45分

こんにちは☆ミ

>医療という場は、人間関係においては
「きれい事」から始めなければ成り立たないのです。

 なるほど・・・これは医師からの視点ではなく患者さんも同様ですわね。お互いの信頼関係なくしては医療そのものがなりたたない。

 御意です。

>マスコミの偏った~

 最近のマスコミの報道等を見ていると矛盾を感じるのです。一方では医師叩きをしておきながらもう一方ではスーパードクターといってもてはやす。
 自身のやっていることの矛盾に気づかないのかそれとも目をつぶっているのか?
 患者さんの視点からみるとよくわからなくなりますよね。

>25-25さん

 棟梁様。某所ではお世話に
こちらにも書き込みがあったのでご挨拶にと“〆(^∇゜*)カキコ♪

投稿: 土木作業員喪時尾の女 | 2008年4月 5日 (土) 13時28分


>ZEBRAさん

気さく…うーん、そうかも。そうじゃないかも。
他人からの自分の評価ってなかなかワカラナイですよねぇ。

>土木作業員喪時尾の女さん

ここでは「マスコミの偏った〜」と書いてしまいましたが
“マスコミ"と括っちゃった彼らの中にもたくさん
理解のある人、偏ってない人、いるんですよねぇ。
そういうマスコミの人たちは大切にしたいし。

医師と患者の関係だけでなく、医師とマスコミの関係にも
同じ事が言えるのかなーと思います。
報道の仕方に腹を立てて「マスコミが悪い」と括ってしまうことも
歯車はいい方向に回らない理由のひとつかもしれません。
報道関係者、ジャーナリストと我々医師もお互いを信頼する、
そこから始められないかな、と思う今日この頃です。

いや、アフォ記事、DQN記者は許しませんけど。

投稿: つよぽん | 2008年4月 5日 (土) 16時44分

>詐病患者様、医療訴訟が大好きな患者様のご意見は
特に歓迎いたします

歓迎されたので、お邪魔します。

見ず知らずの、コイツはどんな人間なのかも全くわからない人に、一番大事な命を預ける訳ですから、当然最初から信頼なんてするなんてないと思いますが。。。

《信じる事から始める》…(--;
“疑う事から始める!”です、ワタクシハ。
コイツは大丈夫なのか?信用できるのか?

おかしいですか?ワタクシハ?


投稿: むむむ | 2008年4月 9日 (水) 23時06分

>むむむさん

やっぱ、嘘くさかったですか?すんません。
きれい事で理想を語ってみたかっただけです。
実際は…やっぱりドロドロなこと、多いですよ。

身内でもないアカの他人に命を預けて不安がないわけありません。
“疑う事から始める!”当たり前の感覚だと思いますよ。
でもだからこそ(更にきれい事を言いますが)
信じてもらえるよう努力はしているつもりですし、
患者を信じるよう努力しているつもりです。

それでも努力が無駄だとわかったら、
医師にも患者にも、お互いの心に疑心しかないと悟ったら
残念ですが、私はその患者さんの担当を降ります。
どう転んでも、どちらにも不幸ですから…。

投稿: つよぽん | 2008年4月 9日 (水) 23時57分

・・・ワタクシハ、ひねくれ者です・・・

担当から降りるのですか??
ムカつきませんか?クヤシクないですか??
自分に負けた気がしませんか??

ワタクシなら、クヤシクテ悔しくて、何とかコイツ(患者)から“信頼”を奪い取ってやる!と思うと思いますが。

>疑心しかないと悟ったら

当然最初は疑心しかないに決まってます。
人は「健康である」「自分は大丈夫」と思って生活しているのに、突然「あなたは病気です」といわれるわけですから。
当然、そんな事いうヤツなんて信じたくありません。

ただ・・そんなヒネクレ者のワタクシですが、信じれる・頼れる先生はいます。残念ながら日本にはいられませんし、もう二度と診て頂く事はできないですが。


つよぽん先生は、負けず嫌いですか?
辞退するなんて、《負け》じゃないですか?


投稿: むむむ | 2008年4月10日 (木) 00時38分

>むむむさん
横から失礼します。

疑心の大きさは、人によると思います。
通常よりはるかに大きな疑心を持っている人の
信頼を得るために費やす○時間の間に、
何人の救急患者の受け入れを断ることになるか。
何件の緊急手術を断ることになるか。

いま、それほど医師は不足しているのです。

その状況でもなお、一人の疑心を晴らすほうに
価値があるとお思いになりますか?

つよぽん先生が説得をあきらめ、手術室に戻ることを
私は「負け」とは思いません。
それは、医師の良心です。

投稿: 蝸牛 | 2008年4月13日 (日) 21時50分

>むむむさん

私は負けず嫌いですよ。
でも報われない努力をするほどのしつこさは持っていませんし
負けず嫌いだからこそ、負けると確信する勝負はしません。

私の言いたいことはほとんど蝸牛さんが代弁してくれました…
付け加えるなら、男女関係にも相性があるように
医師と患者にも相性ってあると思うんです。
相性が悪いと確信したら、もっと相性のいい医師に
委ねるほうがお互いにとって幸せなんじゃないでしょうか?

ついでに余計なもう一言、付け加えます。
どんな男とも相性が合うと思えない不幸な女
どんな女とも相性が合うと思えない不幸な男
残念ながら、そういう人もやっぱり存在しますよね。
そういう人は恋愛そのものに不向きです。
だから医療においても…。

投稿: つよぽん@GWも働くぜぃ! | 2008年5月 3日 (土) 13時39分

ワタクシハ、ひねくれ者です・・(byむむむさん
・・・えっ・・・・・ワッ・ワタクシもです・・・・

どんな男とも相性が合うと思えない不幸な女
どんな女とも相性が合うと思えない不幸な男
残念ながら、そういう人もやっぱり存在しますよね。
そういう人は恋愛そのものに不向きです。(byつよぽんさん

ギョギョッ・・・me?σ(@。@;

そういう人の変容を促進するためには、専門的な知識と技術が必要なのですよ。
医師が多大なエネルギーを費やすのはそこではないのですよ。

私は、ひとりのいわゆるふつうの市民として、
医療従事者が本来の専門性を充分に発揮することを
強く希望します。

横レスごめんなさい。

投稿: saku@GWも働いちゃってるょぉ | 2008年5月 4日 (日) 14時25分

>saku@GWも働いちゃってるょぉさん

相手のベースに受け入れる気持ちがなければ
いくら理屈が正当でもっともでも、どれほど努力しても
届くことはありませんよね。

で、
>ギョギョッ・・・me?σ(@。@;
  ↑
なにか思い当たることでも?ww

投稿: つよぽん | 2008年5月 8日 (木) 22時54分

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